「凡文を名文に変える技術」植竹伸太郎

元新聞記者がカルチャー教室におけるエッセイを題材に、作文の技術を教えるハウツーもの。

推敲すいこう
「僧は推す月下の門」「僧は敲くたたく月下の門」

唐代、詩人の賈島かとうが科挙を受験するためロバに乗って長安に向かう途中、自作の詩「鳥は宿る池中の樹、僧は敲く月下の門」で「敲く」が良いか「推す」が良いか迷った挙句手綱を取るのも忘れ、長安の知事韓愈かんゆの行列に突っ込んでしまった。捕らえられて韓愈の前に引き立てられた賈島が事情を話すと、詩の大家でもあった韓愈は「それは敲くがよいだろう」といった。この故事から、文章を何度も読み直して字句を練る事を「推敲」というようになった。

コメント