私たち人間の本性では対立する二つの側面があり世俗的な成功を目指すアダムⅠと道徳的な救済を得ようと考えるアダムⅡが存在するという。
とにかく現代では、自分らしい生き方、自分が世界で一人しかいない特別な存在とみなす傾向がある。私もそれが当然であると思っていたが昔はそうではなかった。ただし昔が良かったとか高貴であったとかそういう単純な問題ではなく、学ぶべきところもあるがそうでは無い面もあると本書は書いている。
自己実現や自己尊重が大切と見なされる時代に何か見えなくなってきたものはないだろうか。自己を開放し表現をするように変わり、自己は正しいと決める。そのような自分らしさの中には客観的な基準は存在しない。この考えでは自己の中には罪は存在せず、罪は必ず自己の外にあるということになる。
現代では自分を愛し、自分に正直になるようには教わるが、自己を疑えとか自己と闘えとは教わらない。誰の中にも必ず素晴らしい本当の私がいる文化では、皆が世俗的な成功を目指して生きている。アダムⅠを重要視しているということになる。人間にとってもっとも重要なのはどちらなのかを考えなければならない。「自分は人生で何を得たいのか」と問うより「人生は私から何を得たいのか」と問うてみよう。
[amazonjs asin=”4150505268″ locale=”JP” title=”あなたの人生の意味 上 (ハヤカワ文庫NF)”] [amazonjs asin=”4150505276″ locale=”JP” title=”あなたの人生の意味 下 ((ハヤカワ文庫NF))”]
コメント